






「Sundayさんって、唯一無二なんです。みんながふだん使う言葉、子供にもわかる言葉。それで出来ている。そして完成したものは鉄人28号みたいに強靭なんです。活き活きとしていて、まるで新しい言葉として胸に響くんです。それはひとつは、人にこう見られたいみたいな欲が歌にひとつもなくて、Sundayさんが生まれつきそういう人だからなんじゃないかと思えて。堂々と正面から、オールOK!カモン!つう感じで、涼しい顔で、地獄の業火にひとり飛び込んでゆくというか。いつでも他人の為に自分を捨てる覚悟をしている。しかも笑顔で。スポーツマンシップというか。かっこいいんですよ。いつも皆を楽しませてくれる、余計なこと言わない、聞いたら的確な答え返ってくるし、もう人を幸せにするしか能のない人なんですよ。土田世紀の漫画「同じ月を見ている」の主人公のドンちゃんじゃないけど、自分の人生の勘定に自分が入ってないんじゃないかと思えて。そんな人になろうとしてもなれないし、生きてて出会うことさえ奇跡かなと思う。織田信長か毛沢東かサンデーさんかみたいに思うんです。だからこういう歌になる。こういう歌を書ける人はいない。たとえばこのアルバムに入ってる『好きだよ』。Sundayさんが歌い始めたのはもう何年も前、最初はお客さんがクスクスしてて。でも、クスクス笑うということは、みんなこの歌を好きになってる証拠で。一瞬で好きにさせてしまうんです。強引にハートを持っていかれるんです。愛の暴力性というか。巻き込まれるのが嬉しくて仕方がなくなる。それくらいスケールの大きな、美しい曲を書く人やなって思います」(奇妙礼太郎)
奇妙礼太郎が敬愛するSundayカミデが作った曲だけを鳴らす3ピースロックバンド、その名も天才バンド。地元・大阪では、Sundayカミデの才能が、リスナーの人情の機微に触れるソングライティングセンスやジャンルにとらわれない自由度の高いアレンジセンスのみならず、ライブで聴衆を笑いの渦に巻き込むトーク力など幅広く底知れないことはよく知られている。Sundayカミデが残してきた逸話の数々は枚挙に暇がなく、また彼は人生そのものをポップミュージックに昇華する。だからこそ、「マジであったことポップミュージック」と、Sundayカミデはその歌の信条を掲げている。たとえば奇妙礼太郎が世に広め、実際彼の代表曲と認知されている向きもある「君が誰かの彼女になりくさっても」は、Sundayカミデがフロントマンを務めるバンド、ワンダフルボーイズ(exしゃかりきコロンブス)の楽曲である。奇妙礼太郎というシンガーは、それが自身が書いたものであろうと、人が書いたものであろうと、理屈抜きに愛した歌をうたい、その歌に愛される。そんな彼が誰よりもSundayカミデの楽曲を歌いたいと思っているからこそ、またSundayカミデも自分以外であれば誰よりも奇妙礼太郎に自分の楽曲を歌ってもらいたいと思っているからこそ、天才バンドの結成は必然でしかなかった。ドラマーは、2人と長年親交があり奇妙礼太郎トラベルスイング楽団でも叩いているテシマコージだ。
昨年4月にリリースした1stアルバム『アインとシュタイン』は、Sundayカミデの楽曲をベースレスのピアノロックとして熱情的な色に染め上げ、天才バンドの生々しい感触に満ちた音楽像をあきらかにした。そしてメジャーデビュー盤ともなる2ndアルバム『アリスとテレス』が完成した。全15曲から成る本作は2部構成とも言うべきパッケージとなっている。M1「ロックジェネレーション」からM9「THIS IS LOVE」までが1部。1部には、「ロックジェネレーション」や「firefly」など縦と横のグルーヴを兼ね備えた動的な楽曲もあるが、メロディアスな楽曲が数多く連なっているのが印象的だ。
「選曲に関しては、今の気分でこうなったという感じで。1stアルバムをリリースしてみて、ライブで全然やらなくなった曲もあるし、音源は音源、ライブはライブで楽しんでもらうというあり方でもええんかなって思うようになったんですよね。それくらい天才バンドは自由でええかなと。さっき奇妙くんが『好きだよ』について語ってくれましたけど、この曲が描いてることって僕が若かったころのシチュエーションなんですけど、今この年齢で演奏するのがいちばんしっくりくるんですよ。若いときに作った曲を、若い感情のまま演奏することがだんだんできなくなってきたからこそ、今また新しい感覚で演奏できるんやという発見がありましたね」(Sundayカミデ)
M10「FUNK YOU FUNK」からラストM15「ONIGIRI」までの2部はスタジオジャムセッションによって制作された。メロディと歌詞も奇妙が即興でつけたものだ。ここではSundayカミデがピアノから離れてベースを持ち、無軌道だからこそ刺激的な、ライブ感に富んだファンクネスを炸裂させている。
「奇妙くんがミュージックマン社の真っ白なベースをプレゼントしてくれたんです。実は、僕はバンドマンとしてはベーシスト歴がいちばん長くて。高校時代はベースを弾きながら授業を受けていたし、コンビニで夜勤のバイトをしていたときもお客さんがいないとひたすら練習をしていて。久しぶりに弾いてみたら身体が『ベース弾けるやん!』ってバチバチ騒ぎ始めて(笑)」(Sundayカミデ)
「Sundayさんがベースを弾いてる曲、絶対アルバムに入れたいと思ってて、その日のうちに勝手にベース買ってきて。演奏の録音は全部終了、これからマスタリング、というタイミングやったんですけど、急遽予定を変更して1時間。テープを回しながらスタジオセッションを始めたんです。結果はもうバッチリで。3人それぞれ別のブースに入って。その時間がなんかすごくて。音出した瞬間に世界のすべてのことが解決してるというか、ざまあみろバイバイ!つう感じで。うれしくて笑いが止まらない様な感じで。それを限界まで編集したのが後半の5曲です。」(奇妙礼太郎)
「お互いの顔が見えない状況だったからか、いつも以上に想像力が膨らんで。すげえ楽しかったです。」(テシマコージ)
現在はライブでもSundayがベースを弾きまくり、天才バンドは明確に新たなフェイズに突入している。このカッコよさとおもしろは、ぶっちぎり。体感しない手は、ない。